靖国神社問題再び

靖国神社参拝に関しては以前日記で触れたことがありますが,最近討論でもこの話題が出ていたので,また少し書いてみようと思います。

討論・首相の靖国参拝について←クリック

今回は「政教分離」に注目してみたい。
首相の靖国神社参拝は憲法政教分離に反するから認められないという意見があります。ここで私はふと考える。神道って果たして宗教なのだろうかと。宗教って一体何?

私にとって神道とは宗教というよりも日本そのもののような気がするのです。日本の根本であり日本のあり方の規範。日本の規範を政治と分離させること自体もともと無理があるのではないかと思う。

実際神道の最高責任者である天皇は政治に関わっています。外国の要人が来日すれば宮中晩餐会などを開いてもてなすし,しばしば海外にも出かけていわゆる皇室外交を行います。天皇と政治は完全に切れてはいないのです。また,それでいいと思います。

靖国神社というものは国家とは非常に密着した存在。国家のために命を投げ出した人を祀る場所です。もともと「政教分離」などという言葉が適用できるような存在ではありません。

政教分離」を犯しているのは某政権政党でしょう。前回の参院選では,某政党が某宗教団体に選挙協力を依頼したなんて話も聞こえてきました。これこそまさに憲法が危惧するところの政治と宗教の癒着です。「政教分離」って,かつて道鏡などの生臭坊主がやたらに政治に介入したためにできた条文なのではないでしょうか。預言などをする宗教家が政治に介入すれば国家は大きく乱れます。

神道が宗教かいなかについてはまたいずれ考えてみたいと思います。
まずは宗教とは何かを定義する必要がありますね。

一応以前靖国神社について書いた物を再録しておきます。

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 日中翻訳チャットというチャットルームがあります。 そこの常連である一人の中国人は,初めて会った日本人に必ず聞きます
「あなたは首相の靖国神社参拝をどう思う?」と。

 私は次のように答えます。
「首相の参拝には賛成です。靖国神社に祀られている人は日本人の代表として亡くなったのであり,現在の日本人の代表である首相は感謝の意を表すのは当然のことです」と。

 中曽根首相の時に始まった首相の靖国参拝問題は現在に至るもまだ続いています。一体何が問題なのか?A級戦犯が合祀されているから問題なのだという人もいるようです。

 さて,ではA級戦犯とは一体何か。簡単にまとめてみましょう。

A級戦犯侵略戦争を計画,謀議,遂行した,平和に対する罪があると
      された人で,これはいわゆる東京裁判で裁かれました。
      絞首刑7名,終身禁固16名,禁固20年1名,禁固7年1名で
      す。
     東京裁判←クリック
B級戦犯:戦争法規および慣習の違反で有罪とされた人で,連合国各
      国の軍事裁判で裁かれました。
C級戦犯:民間人の大量殺戮や捕虜の虐待など人道に対する罪があ
      るとされた人で,B級戦犯と同じく,連合国各国の軍事裁判で
      裁かれました。
      B・C級合わせて,死刑920名です。

 さてさて,この東京裁判が私としては受け入れがたいのです。平和に対する罪とか人道に対する罪とかで裁かれていますが,これは事後法と言い,今まで存在していなかった法律で,日本を裁くためにあえて作った法律なのです。
 東京裁判には連合国側から12人の判事が参加していますが,その中で唯一の国際法の専門家であるインドのパール判事もその点を指摘しています。彼は,一貫して被告の無罪を主張しました。
パール判事←クリック

 勝った者が負けた者を好き勝手に裁くという裁判が行われたわけですから,多くの日本人の心の中にも,戦犯とされた人に対する申し訳なさというようなものが,ずっとくすぶっていたのでしょう。
 昭和28年,社会党の堤ツルヨ議員の熱心な働きかけもあり,「遺族援護法」が改正され,戦犯遺族にも遺族年金が支給されることになりました。また,戦犯も国内では罪人とはみなさないこととなり,刑死ではなく,法務死や殉難死と表記されるようになりました。

 ドイツと同盟を結ぶとか,中国との戦争に深入りするとか,戦略的判断を誤った政治家もいるでしょう,戦場で,残虐非道な行いをした軍人も間違いなくいることでしょう(個別の事例では間違いなく犯罪者と言うべき人はいると思います)。
 しかし,それは個人の罪とは言い難い。日本全体の罪です(個別の犯罪者のみを抽出するのはほぼ不可能)。

 欧米列強がアジアを食い荒らす状況下で孤軍奮闘していた日本。日本にもそれなりの大義があったのです。
 中国人はよく「一般の日本人民に罪はない」と言いますが,そんなに簡単な問題ではありません。私はあくまで,戦犯とされた人を含め,あの戦争で亡くなった人たちは日本人の代表として亡くなったのだと捉えています。

 したがって,小泉首相靖国神社を参拝する思惑は私には分かりませんが,日本国を代表する者にはしっかり参拝して欲しいと思っています。
 ただ中国が不快に思う気持ちは分かります。この件に関してはのらりくらりと逃げるのではなく,率直に日本国の立場を主張するしか方法はありません。日本の立場をしっかり主張できない首相は参拝しなくて結構。また,これを外交の駆け引きに使うことは避けてもらいたい。
 靖国に眠る英霊も大いに迷惑だろうし,「俺たちは日本のお荷物にはなりたくないぜ」と考えることでしょう。