うつ病と頑張れ

うつ病患者に「頑張れ」と言ってはいけないらしい。
なぜか?
1.うつ病は頑張ってどうにかなるような病気ではない。
2.うつ病は頑張り屋さんがなる病気で,すでに頑張ることに疲れている。
3.他人からの叱咤激励がプレッシャー・負担になる。
以上のような原因が挙げられます。

つまり,「頑張れ」という言葉をかけられることにより,
うつ病患者は精神的なダメージを受け,
病気がより悪化する可能性があるということです。

しかし,私はどうも違和感を覚える。
うつ病患者に頑張れは禁句」という金科玉条
このことが「うつ病患者はやっかいな存在」という忌避感を生じる可能性はないのか?
あるいは「頑張れは禁句」を杓子定規にとなえることにより
人間関係がより悪化するおそれはないのか?

先日もホムピィであるやりとりを見かけました。
うつ病を患う人のホムピィ日記。
ある人が激励するようなコメントをつけたところ,
ホム主はうつ病患者に対し配慮に欠けると激しく反応しました。

自分は大いに傷ついたと言って(無遠慮に)他人を傷つける。
自分にはその資格があるといわんばかりに。

精神的な病だから,ある程度は仕方はないとは思いますが,
私は「うつ病に●●は禁句」という杓子定規な常識が
この傾向に拍車をかけているのではと危惧しています。
うつ病患者自身がこの常識に縛られ,
禁止ワードに過剰反応をしてしまうのです。

「頑張れは禁句」という常識が定着し始めて,
果たして何か良くなったことはあるのでしょうか。
この常識がよけいな軋轢を生み,
うつ病患者のコミュニケーションの機会を減らす要因にはなっていないでしょうか。

いけないのは何の考えもなしに,無責任に,とりあえず,「頑張れ」と言うこと。
それから,今まで頑張っていなかったような含みを持たせて「頑張れ」と言うこと。

根底に愛がある「頑張れ」ならば本来はうつ病患者でも嬉しかったはずなんです。
「頑張れは禁句」という常識がうつ病患者の中で定着してしまった今,
もはやこの常識を覆すことはできないかもしれませんが,
この常識がもつマイナス面についても精神科に携わる人には今一度考えてほしい。

ZARD「負けないで」に励まされたという人はたくさんいます。
もし,この歌のタイトルが「戦わなくてもいいんだよ」だったとしたら,
ここまで多くの人が励まされたでしょうか。
ふと,そんなことも考えてしまいます。

※参考リンク
ヤフー知恵袋