匹夫の最後の砦〜心だけは支配されない〜

東京三菱UFJ銀行中国深セン支店でちょっとしたトラブルが発生しました。

日本人課長が中国人従業員をビンタ。
叩かれた従業員は言い返すことも逆襲することもなかったのですが,
そのことを伝え聞いた中国人従業員約50名が怒り心頭。
銀行上層部に意見書を提出し,課長の解任および謝罪を要求したのです。

焦った銀行は柳岡広和頭取を深センに派遣し,事態の収拾をはかりました。
結果,銀行および日本人課長は叩かれた中国員従業員に謝罪し,
日本人課長は解任されました。
めでたし,めでたし。

とまあ,以上のように,従業員をビンタした課長以外は,
常識的な動きをした事件です。

おそらく詳しい内情を聞けば,日本人課長にも同情できる部分はあるでしょうが,殴った時点で負け。どんな言い訳も通用しません。
また,この課長は日頃から中国人従業員を侮辱するような言動をすることが多く,中国人従業員の間では彼に対する怒りがたまっていたようです。

論語に次のようなフレーズがあります。

「三軍可奪帥也。 匹夫不可奪志也」(三軍も帥を奪うべきなり。匹夫も志しを奪うべからざるなり)

どんなに強大な軍隊であろうともその統率者を殺すことはできる。
しかし,どんなにちっぽけな一個人であろうともその心を奪うことはできない。

おおよそ,そのように解釈されているフレーズです。

組織のトップを変えることはそんなに難しいことではありませんが,
従業員の仕事に対する誇りや人間の尊厳を奪うことなんてできない。
中国人従業員を統率するのは非常に難しいことですが,
中国人の誇りを傷つけるようなことは絶対にしてはいけません。
中国へ進出する企業には,管理職の教育に是非とも力を入れて欲しいものです。
なめられてもいけないし,バカにするのもダメ。
理屈で相手を納得させられるような人材が必要です。


※関連サイト
中国情報局
ライブドアニュース

※ちなみに伏線もあります。銀行合併に伴い,昨年同銀行ではストライキが起こっています。
中国情報局