助ける前にまず支払いを(6/2追記)

さて,中国を批判するニューが目白押しの昨今,
またもや唖然とさせられるニュースが飛び込んできました。

中国特快さんの記事を全文転載します。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
24日夜10時半、漁公漁婆花園橋店の従業員4名が河で遊んでいたが、その内の一人21歳の甘某が服を脱いで河に入った後、泳げないために溺れてしまい助けを求めた。しかし間もなく水中に沈んでしまった為仲間が警察に通報、10分後警察と救助隊が到着したが当事者双方は料金上のことで揉め始めた。漁公漁婆花園橋店の従業員がお金を用意したが救助費用は5,000元(約75,000円)で、仲間同士の手持ちのお金を全部合わせても4,500元(約67,500円)しか集まらなかった。救助隊は4,500元での救助に応じず、結局救助をせずに現場を立ち去った。25日午前1時ごろ、漁師の男性が自発的に網を打ち、午前3時ごろ水死した甘某が引き上げられた。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

全くひどい話です。
警察及び救助隊が駆けつけたのは男性が沈んでから10数分後。
即座に救助していればひょっとしたら助かった可能性も。

こういうニュースを見ると,中国人はやっぱり金に汚いと感じてしまうのは当然でしょう。実際に拝金主義は日本以上にはびこっているし。

また,救助隊が被害者を前にして金銭を要求するなんて事,日本ではあり得ません。日本にだって個人的にひどいヤツはうようよいますが,救助隊は信頼できます。この点は,中国は大いに反省し改善していくべきでしょうね。

ただ,こういう事件を見て憤りを覚える中国人が多いことも
日本人には知っておいて欲しい,

このニュース記事に付いた中国人のコメントを翻訳していくつか紹介してみましょう。

「人1人の命は5000元よりも軽いというのだろうか」

「何と言っていいかわからない。ただただ辛い」

「こういうのは病院でもよくあるよ。人助けの精神はなくなったね」

「この救助隊の刑事責任を追及すべきだ」

「これは個人の問題ではなく社会の問題だ。社会は腐敗している」

などなど。


今回のケースは,やはりシステムに問題があると思われます。救助隊がどこの管轄になるのか知りませんが,助ける前に救助費用を徴収するようなシステムになっているのかどうか。彼らの職場に問題があるのか,上司に問題があるのか,救助隊員個人に問題があるのか,そのあたりはまだはっきりしていません。

救助が仕事である人が助けを求めている人を前にして金を要求するのはとんでもない話ですが,中国では,一般人でも,溺れている人を前にして「いくら払うか」と問うケースがあるようです。

そこで,「見死不救罪」を作ってはどうかという議論が起こっています。
「死にそうな人を見捨てる罪」ですね。「助ける責任がある」「助ける能力がある」にも関わらず助けなかった場合は罪に問われるというもの。しかし,この法律には様々な問題があるため,反対意見も多く出されています。例えば,助ける責任がある場合,自分に死の危険があっても助けなきゃいけないのかとか,助ける能力って誰がどのように判定するのかとか。詳しくは次の中国語ページをほえつさんに翻訳してもらいましょう♪
見死不救罪を作ると犯罪が増える


※追記

またです。

↑の事件は5月24日。5月28日にも同様の事件が起こっていました。
中一の魏君が川で水浴びをしていたところ溺れてしまいました。親が現場に駆けつけたところ人だかりができており,みんな溺れる魏君を遠巻きに見ているだけでした。その中の1人が親に言いました。「3000元で助けてあげてもいいよ」。魏家は貧しくそんなお金は払えず,結局魏君は亡くなりました。

親が助けろよ!と突っこみを入れたくなる話ですが,やはり3000元で助けるという男にも怒りを覚えます。

1月には景徳鎮でも。
原因はわかりませんが中学生5人が川に落ちてしまいました。
3人は何とか救助されましたが,2人はまだ川の中。
駆けつけた救助隊は親に2000元を要求したそうです。

これはどうも救助というよりも,遺体の引き上げ代金を要求しているということかもしれませんねえ。時間的にはまだわずかな可能性は残っていると思うのですが。