削除

ネットコミュニティは言葉の世界。
相手の表情も呼吸も読み取ることはできません。
たまに相手の息づかいが聞こえたと思うこともありますが,たぶん錯覚。

その言葉だけの世界で,我々はその言葉を抹殺する権利を与えられています。つまり,削除という途方もなく大きな権力を。

私はこれまで他人の発言を削除したことはほとんどありませんが,
自分のホムピィで他人の投稿を削除するとしたら次のような場合が考えられます。
1.ブラクラ公序良俗に反するサイトのURL。
2.失敗して2重投稿した場合,一方を削除。
3.私以外に対する誹謗中傷。

私が削除をしない理由は色々あるのですが,
その一つとして障害者の存在をあげることができます。
あまり外出できない障害者にとってインターネットの普及は
革命的な出来事だったと推測できます。
コミュニケーション不足に陥りがちな障害者も,
インターネットによって,たくさんの人と触れ合うことができるようになりました。

総務省の調査によると,平成15年度の障害者のインターネット普及率は次のようになっています。
視覚障害者:69.7%
聴覚障害者:81.1%
肢体不自由者:43.6%
障害者全体:45.6%

想像以上に高い普及率です。
SayClubでもきっと数多くの障害者が楽しんでいることでしょう。

障害によって違いますが,彼らは様々なソフトや装具を利用することによりインターネットにアクセスし,そしてコミュニティにおいて投稿を行っています。例えば上肢が使えない人は特殊な器具を口で操りマウスと同様の操作を行い,音声認識ソフトで入力したりします。
特殊な装具が手に入らず口にくわえた菜箸や鼻などで入力している人もいるそうです。

彼らの入力する一文字一文字は努力の結晶です。魂が宿っています(もちろん障害者以外の人の言葉にも魂が宿っていると私は考えますが)。たくさん話はできないけれど,誰かとつながっている感覚を得たい。それで,頑張って投稿している人もいるはずです。

他人の投稿を消去する際には,そんなことも考えて欲しい。
削除はクリック1つで簡単に行える作業ですが,
実はものすごいことをしていると気付いて欲しい。

SayClubの管理者もそのあたりのことを真剣に考えていない人がいるようです。本当に削除すべき投稿なのか,一度投稿者に確認した方がいいのではないか,そういった思考を得ずして,反射的に削除してしまう。

自分が如何に大きな権力を持っているか,セイクラブ管理者にも参加者にも自覚が必要だと感じます。

※参考
福祉機器
身体障害者(肢体不自由)が利用可能なパソコン入力装置