北朝鮮拉致事件雑感

今日は朝から横田夫妻がテレビに出まくっています。
マスメディアの力というものを痛いほど知っているのでしょう。
どんなに世の中に拉致問題を訴えたところで,テレビが採り上げなければ国を挙げてのムーブメントにはなり得ない。マスメディアの怖さを知っている反面,その利点を手放すわけにはいかない。これからもテレビで放送してもらう為に,テレビには積極的に出演する。そんな思いが伝わってきます。

この拉致問題ですが,果たして家族会の皆さんはどのような解決を念頭に置いて活動を続けているのでしょう。もちろん拉致された家族全員を帰国させることが目標ですが,その段取りとして,どんな青写真を描いているのでしょうか?話し合いによる解決ができないことはすでに日本国民の共通認識です。では,経済制裁をすれば解決できるのか?経済制裁をすれば北朝鮮はすべての情報を開示するのか?

私は経済制裁をしても北朝鮮が情報を開示するようには思えません。なぜなら,安否不明者の情報は北朝鮮の安全保障に関わってくると思われるからです。今のところ北朝鮮は,拉致は一部の軍人が勝手に行ったもので国家ぐるみではなく,責任者はすでに処罰したと戯れ言を述べていますが,安否不明者を表に出すと,この言い訳が通用しなくなるのです。だから,絶対に出すわけにはいかないのが実情でしょう。

あまり知らない者は解放し,知りすぎた者は解放しない。拉致被害者の命運を分けているのはどれだけ情報を知っているか,あるいはどんな仕事に携わってきたかによると思われます。

ひょっとしたら,拉致被害者自身が帰国を拒否している可能性もあります。北朝鮮により強制的に手を汚させられ,もはや日本に顔向けできない状態にある人もいるかも知れません。

拉致問題の全面解決は,金王朝の崩壊があってこそ成し遂げられると思います。こういう時,アメリカは反政府組織の援助をし政府転覆を謀るのが得意ですが,すでに秘密裡の活動を行っているのでしょうか。日本も歩調を合わせているのでしょうか。チァウチェスクが独裁していたルーマニアのような形になるのが理想ですが,北朝鮮国民自身の反金正日の気運が高まらなければ難しい。

やはり表面的には経済制裁でじわじわと締め上げ,裏では反政府活動の援助をしていくしかないのかも知れません。

小泉首相は巷間言われているように日朝国交正常化をした首相として歴史に名前を残すことしか考えていないのでしょうねえ。無理矢理国交正常化し,人的交流を活発にすることにより,金王国の実体を北朝鮮の国民に知らしめ,金王朝を崩壊に向かわせようと考えているとしたら,それなりに評価できるのですが。