目先の利益に執着しない人々

先ほど,NHKでハタハタ漁に関する番組を放送していました。

ハタハタ漁の本場は秋田。毎年11月末になると産卵のためにハタハタが浅瀬にやってきて,12月にはハタハタ漁が最盛期を迎えます。
秋田ではお正月料理にハタハタは欠かせないとのこと。

このハタハタ,大衆魚になったり高級魚になったり忙しい。
最も漁獲高が上がった頃は年間20000トンも捕れ,誰でも食べることができる大衆魚でした。しかし,1976年くらいから乱獲のために不漁が続き,徐々に高級魚になっていきました。1991年には漁獲高が72トンにまで落ち込んでしまったそうです。そして,高級魚だからなおさらたくさん捕ろうとして悪循環ができてしまいました。

そこで,秋田の1人の漁師さんは考えた。
「海をしばらく休ませなきゃならねえ」
素晴らしい考え方です。そこで,さっそく他の漁師さんにもこの案を話しました。ところが,案の定,なかなかみんな納得してくれません。それもそのはず,何しろみんなハタハタが収入源の半分を占めていたのですから。でも,根気よく説得を続けた結果,ハタハタの禁漁が決定されました。1992年から94年までの3年間です。

そして,禁漁が解けた1995年,海から網をあげてみたところ,網の中ではたくさんのハタハタが飛び跳ねていました。海は復活したのです!
1995年の漁獲量は142トン。99年には724トンまでになりました。

禁漁によって出稼ぎに出た人,廃業して船を売ってしまった人,様々な人がいたようですが,長い目で見れば禁漁は大成功だったのです。現在では,自然との共生という観点で,漁獲量を調整しつつ漁を行っているとのこと。

素晴らしい人類の知恵です。