裏をとらないマスコミのいい加減さについて(天安門編)

1989年6月4日,中国で天安門事件が発生しました。
民主化を訴える集会&デモを軍事力で抑え込んだ事件です。
天安門広場には多くの民衆がテントを張り陣取っていました。
そこへ突如として戦車が突入してきたのです。
一体何人亡くなったのか,その数は判然としておりません。

さてさて,私はまさにその時北京にいたわけですが,
マスコミのいい加減さを身を以て体験したのです。

まず一つ目。私が留学していた学校には度々日本大使館から職員が
やってきて状況説明をしてくれました。かなり情勢が危うくなってきた頃,
大使館員が留学生の点呼をとりました。その時,1人の留学生が
たまたまいませんでした。確か,戦車を見に行ってたのですが,
ある留学生が一言つぶやきました,

「怪我でもして帰ってこれなくなったんじゃないの」

数日後,ニュースステーションで,
「留学生のA君重傷!」と放送されました(^^ゞ

二つ目。我々は結局強制的に帰国させられることになりました。
大使館員から「残ったら命の補償はできん」と言われ(^^ゞ
で,北京空港に行くと,飛行機がないと言うことで貴賓室に一泊。
翌日,無事に帰国。そして,成田空港に降り立ち,ゲートを出てみると
マスコミの群れが待ちかまえていたのです。
私もどこぞの新聞社にインタビューを受けました。
まあ,途中で見知らぬおばさんが乱入してきて,
話を持って行かれましたが(笑)
さてさて,そのインタビューというか取材が問題でした。
私の当時のルームメイトもその時取材を受けたそうですが,
あること無いこと適当にしゃべったらしいのです。
学校の裏の方から大砲の音が聞こえてきたとか
死体が埋められていただとか。
で,それが,すべて新聞に載りました(^^ゞ

私が実際に見たのは道ばたで燃えている戦車と
子供の遺体くらいです。
中国人の感覚のどうも理解できないところなのですが,
犠牲になった子供の遺体を軽トラに乗せ,
みんなに見せて回っていたのです。
人民解放軍はこんなにひどいことをした!」とアピールするために。
早く埋葬してやれよと思ったものです。

さてさて,本題のマスコミですが,
本当に裏をとらないで聞いたものをそのまま垂れ流してしまいますね。
文章に対する責任というものを全く感じていないかのごとく。
危険な場所に社員を派遣しないという方針は,まあ会社それぞれの
問題だからとやかく言いませんが,


嘘は書くな,裏を取れ!

以上。m(__)m