精神障害と犯罪

時事通信社の記事を全文引用
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007091800657

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滋賀県長浜市で昨年2月、幼稚園児2人が通園途中に刺殺された事件で、殺人や銃刀法違反などの罪に問われた中国籍の女、鄭永善被告(35)の公判は18日午後も、大津地裁(長井秀典裁判長)で開かれた。検察側の死刑求刑を受け、同被告は最終陳述で「申し訳ございません。二度とこんなことが起きないように頑張りますから助けてください」と述べ、結審した。
 判決は10月16日に言い渡される予定。
 被告側は最終弁論で、「鄭被告は統合失調症のため著しい衝動性、攻撃性を有し、行動が制御できなくなった」と主張。事件当時は心神喪失心神耗弱の状態だったとして、無罪か減軽を求めた。
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統合失調症のため」→「行動を制御できなくなったのだから」→「無罪か減刑してくれ」

というのが弁護士側の主張。

気になるポイントは,
1.統合失調症は殺人を犯しても不思議ではない病気だと世間に認識されやしないか。
2.心神喪失心神耗弱状態というのは精神疾患患者,統合失調患者固有のものなのかどうか。固有のものではないとするならば,違う原因(例えば失恋や泥酔など)によって心神喪失心神耗弱状態にある
者もまた減刑されるのか。
3.罪を償うという義務を果たさなくていい人は,同時に,ある程度の権利が奪われても仕方がないのではないか。例えば幼稚園児は人を殺しても刑務所に入ることはないが,様々な権利を行使することができない。
4.罪を償わないでいい人はあらかじめ認定しておく必要はないのか。突発的な心神耗弱状態によって罪を軽減されるとするならば,その適用範囲は無制限に広がるおそれがある。

私はケースによっては殺人にも情状酌量の余地があるとは思いますが,そこに,心神喪失心神耗弱といった精神医学の概念を導入するのは何か違うのではないかと感じています。